Footy Talks Vol.4「街中を練り歩くサポーターたち」

前回記事から引き続き昨年9月の北欧遠征のお話です。

9月2日、フィンランドは地方都市タンペレ。この日はロシアW杯予選フィンランドvsアイスランドの試合が開催された日です。

フィンランド第二の都市、タンペレでの開催に街は熱気に包まれていました。

アイスランドからは約2000人のサポーターが押し寄せ、チケットは完売。グループの下位に沈むフィンランドを気持ちよく叩いて悲願のW杯へ、と意気揚々と乗り込んだアイスランドサポーター達は街中のあらゆる場所で見かけることができました。郊外の湖のほとりにある公衆サウナでもたくさん見かけたくらいです。

約2000人のアイスランドサポーター。ヴァイキングクラップも圧巻でした。

そんなサポーターたち、試合時間が近付くと街中の広場に集まり、行列を成してスタジアムに向けて歩き始めました。

私はそれを沿道でただ眺めてただけなんですが、行列の中のサポーターのご厚意で、フィンランド側のチケットしか買えなかった私が念願のアイスランド側で観戦できたのでした。なんて出会いだ。

試合は前半フィンランドに直接FKを沈められ、アイスランドもゴールをこじ開けることが出来ず、0-1と痛い敗戦となりました。決勝点はニューヨークシティFC所属のアレックス・リング。4ヶ月前にヤンキースタジアムで出待ちした時にも優しくファンサービスしてくれた選手です。複雑だ…

その後、アイスランド代表はウクライナやトルコといった出場権を争うレベルの国をしっかりと叩いて、なんとかグループ首位でのワールドカップ出場を決めました。この敗戦が致命傷にならなくてよかった…

ここまで未勝利のフィンランドが金星。この後も強豪相手に負けなしで予選を終え、フィンランドにとってターニングポイントとなった一戦かもしれません。

そんなエピソードは置いておいて、今回に限らずヨーロッパでサッカーの代表戦を観に行くと、大抵の国ではこのようなサポーターの練り歩きを街の公道で見かけます。

中でも1番印象深かったのは欧州選手権EURO2016を観に行った時、マルセイユで見たハンガリーサポーターの行列でした。

マルセイユで見かけたハンガリーサポーターの練り歩き。その先頭集団。

最前線はユニフォームではなく黒いTシャツを着たいかにも「ヤバそう」な集団が仕切っていましたが、その後ろからは多くの一般サポーターたちが何百メートルにも渡って列を成しているのです。

列の後方は子供連れや女性の参加者も多く見られました。

普段だったら路面電車が通っている目抜き通りを何万人単位のサポーターが闊歩していく…非常に圧巻の光景でした。

これは国際大会でしたが、予選レベルでもアウェイサポーターが試合会場に列を成して闊歩していく様子はここフィンランドに限らず見られました。決してこれらの行列はサポーターが勝手に起こしているわけではなく、必ず現地の警察が行列のそばでしっかり監視していました。きっと時間やルートなど綿密に調整した上で行われているのでしょう。

日本ではオリンピックで活躍した選手が帰国後にパレードするような「凱旋」を称える気概はありますけど、こんな風にファン・サポーターが「決起」して練り歩くことはあまり無いですよね。自国に誇りを持って、戦いの地を練り歩く。日本代表サポーターだと海外遠征先でやっていたりするのでしょうか?あまり聞いたことはありませんが。

来年ラグビーワールドカップが、再来年には東京オリンピックが開催される我が国。自国の選手を応援しようと、全世界からスポーツファンがやってきます。

ラグビーやオリンピック競技を観に来る人々が、前述のような練り歩き、チャント合唱をするかわかりませんが、はるばるやってきた極東の地で自国への愛を叫びたいという人も少なくないはずです。

そんな場面に出会ったとき、我々は嫌そうな顔をするのではなく、温かくその様子を見守ったり、笑顔で歓迎することができたらいいなと思います。もちろんその人たちが法に触れるような行為をしていれば、警察を呼ぶ必要はあるでしょうが。多様性を認めるということも、これからの時代の「おもてなし」に必要な要素だと思いますし、何より多様性を楽しめてこそスポーツはもっと面白くなると思います。

今からしっかり心の準備をしておきたいものです。