Footy talks Vol.7 「ロシアW杯に行ってきます。」

いよいよ明後日から4年に一度の祭典、FIFAワールドカップが開幕します。

今週金曜日から私もロシア入りし、約一週間滞在します。日本代表の様子はイマイチですが、私自身初めてのW杯ということで非常にワクワクしているところです。

今大会のマスコット、ザビワカくん。どこかで会えたらいいな。

観戦予定

現在、観戦が決まっている試合が以下の4試合です。

6/17 ドイツーメキシコ@モスクワ ルジニキ

6/18 韓国ースウェーデン@ニジニノヴゴロド

6/19 コロンビアー日本@サランスク

6/20 ポルトガルーモロッコ@モスクワ ルジニキ

これだけの試合が押さえられているのは非常に幸運ではあるのですが、本命の6/16 アルゼンチンーアイスランドがここまでノーチャンス…

アルゼンチンーアイスランドは、人気のアルゼンチンとアイスランドの歴史的初陣、アクセスしやすいモスクワ開催で、更にスタジアムはコンパクトで見やすい方のスパルタク。

条件が揃いに揃ってしまい、決勝戦並みに難易度が高いチケットとなってしまっています。

どうしても観たいアイスランド…アイスランド国民ですらチケット確保に難儀している模様…

アイスランド代表の試合で知り合った現地民やアイスランドリーグのクラブにも片っ端から声を掛けてみたものの、全く取れそうな様子がありません…

もう当日のスタジアムに賭けるしかありません。ニーチケ上等。金は積めませんが勝算はあります。どうなることやら。

準備にかかったもの

結局今日までにチケット4枚を確保。

今回、旅行にかかるものは全て自己手配で確保しています。今のところかかっている費用がこちら

・航空券代 12万円

最初は9万円だったけど、今月に入ってポルトガルーモロッコの試合が取れたことにより便変更。手数料ではなく現在の値段との差額を払った結果。それでもトータルで見れば許容範囲。これでCR7とモロッコ観れるなら安い。

・宿代 2万円

モスクワ市内のシングル3泊、ドミトリー2泊でこの値段。昨年12月の組み合わせ抽選が行われた直後に押さえました。半年前から日本シリーズに備えてセ・リーグ本拠地のホテル全部押さえておくパ・リーグ球団好きの猛者と同じようなやり口です。

いずれもターミナル駅から徒歩10分圏内の好立地。もっとも、夜行電車で夜を過ごすこともあるので、ドミトリーに関してはシャワー付きキャリーバッグ置き場しか考えていません。

宿泊施設によっては大幅な金額変更やキャンセルをいきなり突きつけられるようですが、今のところ私はそのような被害に遭っていません。幸運でした。

・チケット代 約5万円

ポルトガルーモロッコがカテゴリー2で165ドル、残り3試合がカテゴリー3で105ドル。アイスランドの試合でニーチケすればここは跳ね上がってしまうかも…

とりあえず、ここまで20万円ほどで収まっているので、一週間4試合も観て30万円前後で済んでしまうかもしれません。無料列車などの活用もありますが、やはり前もっての準備大事ですね。

ロシアではこんなことしようかな

扇子配ります。出発までにもう少し買い足す予定。

・ちゃんと観光もします

こっちの準備はだいぶ出遅れてしまったのですが、今のところそれなりに観光もして、オーケストラも観たりする予定。食事も楽しみです。

・和装参戦します

昨今の忖度JAPAN案件で購買意欲が減退してしまったのも事実ですが、我が家に今回のユニフォームを彷彿とさせる浴衣があったのが最大の要因。10年前、高校生の時に買ったものなんですけどね笑

・ジャパニーズセンス作戦します

マスコミでも取り上げられる「ハチマキ大作戦」。過去の大会でも異国のスタジアムにホームの空気感を作り出した素敵な企画ですよね。

今回も多くのハチマキが用意されているようです。すごいですよね。

自分はせっかくなら「能動的に」応援してほしいなって思うので、ハチマキではなく扇子を持っていきます。1つ100円。

自分1人じゃ買えても50本が限度ですが、少しでもピッチに向けて「風を送ってほしい」なと。そんな想いで。持って行きます。ハチマキと合わせて、もらってほしいですね。

多分他にも扇子持って行く人はいると思いますけどね笑 よかったら一緒に現地で配りましょう!

そんなわけで木曜夜の開幕戦見届けてから飛んできます〜

Footy talks Vol.6 「20年ぶりのW杯を目前に」

1月。成人の日を含んだ3連休は毎年どこかに行きたくなります。ふとアフリカに行きたくなって、Skyscannerをいじってたら、往復6万円の格安航空券がありました。行先はカサブランカ、モロッコ。

 

モロッコといえば、ロシアW杯に出場するアフリカの雄。20年ぶり、なんと98年のフランス大会以来のW杯出場となります。身体能力の高い猛者たちがひしめくアフリカ大陸予選で長年勝ちきれずにいましたが、今回は予選で無失点という組織力の高さを見せつけて本大会へ進みました。

久々のW杯本大会出場にモロッコ国内も盛り上がっています。

モロッコが属するグループBはスペイン・ポルトガルの2強と目されていますが、モロッコもバイエルンやユヴェントスなどのビッグクラブで活躍してきたDFベナティアを中心に各ポジションに欧州強豪リーグで活躍する実力派を揃えています。守備力が高いので短期決戦でサプライズを起こす可能性も十分秘めているでしょう。

今回のテーマはそんなモロッコを旅して感じたサッカーのこと。国内リーグは1試合しか観られませんでしたが、感じることが多い滞在でした。

アフリカ屈指の実力と人気を誇る国内リーグ

モロッコのプロリーグ「ボトラ」はアフリカ大陸の中でも高い人気を誇るリーグです。昨年、浦和レッズとクラブW杯の5位決定戦で対戦したウィダード・カサブランカはこのリーグの2強の一角。昨季アフリカCLで優勝。同じカサブランカを本拠地とするラジャ・カサブランカと共にこの国のサッカーを引っ張る存在です。

伝統あるウィダード・カサブランカ。モロッコ有数の人気クラブ。
今回、渡航期間にリーグのウィンターブレイクを挟まれてしまったのですが、クラブW杯に出場したウィダードが未消化日程をこなすということで幸運にも観戦が実現しました。場所は世界遺産の都市で観光地としても有名なマラケシュ。カウカブ・マラケシュというクラブとのアウェイゲームです。
モロッコでクラブW杯を開催した時にも使われたマラケシュのスタジアム。
追加日程ということでバックスタンドは開放していませんが、月曜夜にしては両サポーターがゴール裏にそこそこ集まる良い雰囲気の中での試合でした。

この試合、ウィダードの選手たちは疲労のピークを迎えていました。アフリカCLやクラブW杯出場で軒並み延期となっていたリーグ戦を昨年11月下旬から消化し始め、ここ1ヶ月、中2〜3日で試合をこなし続けていたからです。

また、ここモロッコでアフリカ・ネイションズ・チャンピオンシップ(※国内リーグ所属の選手のみ起用できるアフリカ選手権。有名なカップオブネイションズとは異なる大会。)が開催されるため、ウィダードの主力選手が4人も代表に招集されてしまいました。スタメンは1.5軍のようなメンバー。一方のマラケシュは招集ゼロでほぼフルメンバーでした。

その差が現れたのか、マラケシュはウィダードDFの裏を面白いほど突いていきます。お互い1点を取り合うも、マラケシュが主導権を握る展開。サッカーの内容はヨーロッパに近く、身体能力よりも個々の技術の高さが目立ちました。よくパスも繋いでいました。
陸上トラックまで投げ込まれた発煙筒。試合を中断するまでには至らず。
前半終了間際にはマラケシュのサポーターが発煙筒を焚き始めました。ウィダードのサポーターの声の方が大きいのですが、熱量ではマラケシュも負けていません。

後半もマラケシュ中心に攻めるも両者決め手を欠き、1-1のまま終了かと思われた89分、ペナルティエリアの端からマラケシュの選手が上手くコントロールしたシュートをゴールへ流し込みました。

名門相手の番狂わせにマラケシュサポーターは大騒ぎの中試合は終わりました。
名門ウィダードから貴重な勝ち点3を挙げたマラケシュ。今季、僅差で残留を決めましたが値千金の勝利でした。
月曜夜でもこれだけの雰囲気が作れるほど人気があるモロッコリーグなのですが、実はロシアW杯メンバーに絡めたのはほんの2〜3人。現在のモロッコ代表はフランスやオランダ出身の移民が大半を占めており、モロッコに住んだことすらないメンバーの方が多いのが現実です。

モロッコの少年たちはサッカーに夢中

代表チームに国内組の選手が少なくても、モロッコの少年たちはとにかくサッカーが大好きです。普通に旅をしている中でも、この国のサッカー好きな一面を垣間見ることがありました。
人気の砂漠宿泊ツアー。ラクダにも乗れますが、道のりはラクではなかった…
砂漠に宿泊する人気ツアーに参加したのですが、この日モロッコは大寒波に見舞われ、6時間かかる通常の山越えルートは大雪通行止め。しかし中止にならず11時間もかかる迂回ルートを余儀なくされました。体は疲弊しましたが、観光とは無縁で経済的に取り残された貧しい町も眺めることができました。

どの町にも子供たちが遊ぶためのサッカーグラウンドがあったのが印象的です。ネットも張っていない枠が2つ立っているだけの土のグラウンドばかりでしたが、町に住む子供たちの「オアシス」を車窓から何十も眺めていました。ひとつひとつ趣きがあって、止まって写真に収めたかったくらいです。

ほとんどの集落のグラウンドがこのような最低限の作り。ただ、もれなくどの集落にもありました。
休憩や観光で降り立った小さな町でも、子供たちはサッカーをして遊んでいます。空気が十分入っていないボールでも、楽しそうに蹴飛ばしています。
ペコペコのボールを蹴って遊ぶ子供たち。
地面がぬかるんでいても、デコボコしていても、関係ありません。石畳の狭い路地ならチョークでゴールを描いて。少しでもスペースがあれば彼らはボールを蹴って楽しむのです。とても疲弊したツアーでしたが、こういった一面を見られたのは収穫でした。
マラケシュの路地に作られたお手製ゴール。カウカブ・マラケシュを表すKACMの文字が。

サッカーを通して感じたこの国の現実

サッカーはその国の様子を写す鏡となる。いつも思っているのですが、ここモロッコでもそうでした。
スタジアムにはとにかく若者が多かったです。私が観戦したメインスタンドの高価な席(といっても50ディルハム≒650円)は比較的裕福そうな大人もいたのですが、20ディルハム(≒260円)のゴール裏席には少年、若者といった年齢層のサポーターで溢れていました。親子で来ている人はあまり見当たりません。
アウェイまで来るウィダードのサポーターは流石に年齢層も少し高めでしたが、それでも概ね若者。マラケシュ側は地元の少年ばかりでした。
あくまで推測でしかありませんが、モロッコの経済水準が大きく影響しているのだと思います。アフリカの中では裕福なイメージはありましたが、やはり先進国ではありません。

彼らモロッコ人はすごくお金にシビアです。値札を付けず人を見て値段を付け少しでも多く稼ごうとしますし、前述のツアーだって、悪天候でもキャンセルしたらその日の収入が無くなりますから、無謀な迂回ルートを使ってでも強行しました。

家計を支える大人は時間的にも経済的にもサッカーを観に行く余裕は無いのでしょう。それに比べ若者には時間的余裕がありますが、大人に無いお金があるはずもありません。

1人がお金を払って乗り込んで、内側から中ドアを開ける作戦だったようですが、左の強面おじさんに捕まり失敗…
スタジアムまで向かう路線バスで、マラケシュのサポーター少年たちとバス会社職員の攻防を目撃しました。集団での無賃乗車工作は失敗に終わりました。たった7ディルハム(≒91円)すら惜しいのです。

帰路でも、少年たちがお金をくれないかと近づいてきました。手で「5ディルハムでいいから」と。私はその手に日本が誇る駄菓子、モロッコヨーグルを心を込めて置いていきました。

地元マラケシュの子供たち。試合後の遅い時間でも子供だけで暗い夜道を帰ります。
大都会カサブランカに住むウィダードのサポーターは比較的裕福だからこそ、電車で片道4時間もかかるここマラケシュまで来れたのでしょう。それでも日本円で片道1300円かかるので大変なはずですが。
ウィダード(Wydad)の頭文字を手で作るウィダードサポーター。彼らはきっとこの国では裕福な人たち。
サッカーを楽しむということは、現実の生活に余裕がある人でないと、なかなかできないものだと痛感させられます。我々日本人だって日々生きていくのは大変だけど、世界にはもっと必死に生きている人たちがいるということ。

あの町のグラウンドで楽しそうにボールを蹴っていた少年も、スタジアムで声を枯らした若者も、いつかは家族を支えるために懸命に働き、サッカーどころではなくなってしまうのかもしれません。

サハラ砂漠から差す美しい日の出のように、モロッコ代表の活躍が国を明るく照らすでしょうか。
ただ、そんな現実に一筋の光が差すかもしれない、そんなチャンスであるW杯がすぐそこに近づいています。

1人、とても注目している選手がいます。FWのエルカービ。彼は昨年までモロッコ2部リーグでプレーしていて、今季も地方クラブでプレーした国内組。前述の国内組のみで争われるアフリカ選手権で代表初ゴールを含む9ゴールを叩き出し一気にロシア行きの切符を掴んだシンデレラボーイです。

彼がスペインやポルトガル相手にゴールを決めるようなことがあれば…モロッコ国民の夢は無限に膨らんでいくに違いありません。そんな気持ちで待つW杯。なんだかとてもワクワクします。

スタジアムで観られないのが残念ですが、モスクワのファンゾーンで観戦しようと思います。楽しみです。

Footy talks Vol.5「2日間で駆け抜けたフェロー諸島サッカー」

昨年の北欧遠征シリーズ、ラスト3本目を飾るのはフェロー諸島です。

前回:Footy talks Vol.4「街中を練り歩くサポーターたち」

前々回:Footy talks Vol.3「北欧のコミュサカに触れてきた」

私自身約5年ぶりの訪問です。9月3日のW杯予選フェロー諸島vsアンドラを観に行きました。

コペンハーゲン国際空港からたった2時間のフライトで行けるフェロー諸島。忙しい遠征ルートの合間を縫って組み込みました。それだけサクッと行くこともできる場所なのです。フェロー諸島って。

滞在時間は2日間。非常に忙しいスケジュールですが、その中で出来る限りフェロー諸島サッカーを楽しんできました。

フェロー諸島史上最も勝利を義務付けられた試合

フェロー諸島が欧州のやられ役だなんて、そんなの大昔の話です。EURO2016予選でのギリシャ連破が功を奏し、FIFAランキングが急上昇。ロシアW杯予選の抽選会では第4ポットにシードされました。つまりグループ内に「格下」が2国もいるのです。

ギリシャ連破、ラトビアに快勝など徐々に自信を付けているフェロー諸島。サポーターの期待も日に日に高まります。

最下層の第6ポットから同組になったのがアンドラ。先日ハンガリーを破る金星を挙げましたが、基本的には予選で勝ち点1取れるかどうかという次元で戦ってきた国です。

この予選で二桁勝ち点を狙うフェロー諸島。ホームでグループ最弱国を迎えるこの試合は、当然負けなど許されない、歴史上最も勝利を義務付けられた試合となったわけです。

バックスタンドの2列目を確保。チケットは日本円で3000円しない程度。

そんな試合にフェロー諸島の勝ちが観たい!という軽い気持ちの日本人がはるばるやってきたわけであります。フェロー諸島は首都トースハウンにあるナショナルスタジアム。

勝ち試合を観るイメージしか持ち合わせていません。前日、フィンランドでまさかの黒星を喫したアイスランド代表のようなことはあってはなりません。

最低限、勝ち点3を積み上げた試合

民宿のオーナー(UEFA- Aライセンス持ちのコーチ)がそう言ってました(笑)

フェロー諸島代表の出来にこのような評価を下せるとは隔世の念がありますね…泣けてきます。試合はどちらのペースとも言えない一進一退の展開でしたが、アンドラの攻撃に怖さが無かったので安心して観ていられました。

アンドラ戦ハイライト(フェロー諸島のネットテレビ局KVFのページへ)

前半30分にノルウェーでプレーする左ウイング、ギリ・ソーレンセンのゴールで先制するも、その後は両者決定力に欠き、1-0のまま試合は終了しました。

試合後の歓喜。どんな相手にだって勝つのはやっぱり嬉しいものだと再認識。

危なげは無かったものの、どこか消化不良。強豪国ならブーイングが出る出来でしたが、フェロー諸島としては歴史の中でそう多くはない勝利を、また一つ重ねられたので多くのファンは素直に喜ばしいといった反応でした。

名物のテトリスチャントが聴けたのも嬉しかったな。

ハードル低すぎ!オススメしたい出待ち

さて、試合後はせっかくここまで来たので出待ちです。小さなメインスタンドは入口もそう多くはないので選手が出てくればすぐわかります。

代表守護神のグンナー。すごい選手だから、緊張しちゃう気持ちよくわかります。

フェロー諸島の選手はサインくらいなら快く応じてくれます。フェロー諸島で唯一のイングランドプレミアリーグに出場したGKグンナー・ニールセンとも少し話ができました。

メインスタンド裏ではこんな感じで選手が目の前を通っていきます。

ビジターの選手たちもおそらく同じ出口から出て行きます。アンドラ代表はそうでした。皆さまに強調してオススメしたいポイントはここです。

大好きな国がフェロー諸島に遠征したら行くべき!!

ドイツやポルトガルといった欧州強豪国が試合に来る場所で、こんなにユルいスタジアムは世界中どこを探してもそうそう無いです。ライバルもかなり少ないですし。

出待ちのハードルが低いのはもちろんのこと、海外の代表チームが泊まれる大きなホテルは数えるほどしかありません。丘の上にある島内最高級のホテルにほぼ確実に泊まっています。先日のポルトガル代表もそうでした。予選の日程が出たら、もうその日のホテルを押さえれば、ロビーで遭遇できるかもしれません。

というわけで、大きな声で宣言させていただきます。

スター選手に会うならフェロー諸島においでよ!!

最果てのスタジアムは今…

この圧巻の風景、ネット上で見かけたことがある人も少なくないはず。

フェロー諸島といえば、やっぱりあの最果てのスタジアム。世界で最も過酷な環境下にあるように見えるこのスタジアム。Eidi(これでアイヤと読む)という小さい集落にあります。5年ぶりにここを再訪してきました。

バスの本数も少ないのでヒッチハイク。道中は壮観な景色の連続です。

訪れてみるとあれ…キャンピングカーがたくさん停まってる…どうやらオートキャンプ場となってしまったようです。

キャンピングカーが人工芝の上に…電源まで確保されていました。

ゴールは枠のみ残されて、ネットはありません。テーブルまでセットされちゃって。人工芝には駐車位置のマーキングまで。

後ろの防球ネットも穴だらけ。すぐ後ろは池なので迂闊にボールは蹴れません。

実は今年、町からもっと近い場所に新しいスタジアムが作られたんですね。

最近運用され始めた新スタジアム。これでも充分圧巻のロケーションですよね。

これまでのスタジアム、町から歩くと20分近くはかかりました。海沿いすぎる立地で風も強すぎて。スポンサー看板や人工芝も潮風ですぐ傷んでしまうし。お役御免も仕方のないことでしょう。

しかし人口600人ほどの町にこの新しいサッカー場です。サッカーへの需要の高さを感じます。

フェロー諸島の育成世代を見学

トースハウンの街に戻ってくると、民宿のオーナーが教えているU12チームの練習を見せてくれると車に乗せてくれました。向かった先は昨日の代表戦のスタジアム。激闘の翌日、同じピッチで練習できるなんて羨ましい…

オーナーは息子さんも連れて練習に向かいます。

練習の様子を観てると、コーチが怒ったり、手取り足取りすることはほとんど無く、自分たちで考えて動きなさいといった感じ。皆のひのびと、楽しそうにボールを蹴っていました。なかなか上手な子もちらほら。

「ここから未来のフェロー諸島代表選手が出てくるのです。」陳腐な表現ですけど、ここではその確率が果てしなく高いですからね。きっと。

各々が考えながらボールを扱う。そのことに特化した練習内容でした。

コーチ達は今後もっと競技力を高めていけると自信を持っています。隣国アイスランドの躍進も刺激となっているようです。何せあのアイスランドも、つい8年前まではFIFAランキングではフェロー諸島よりも下位に位置していたことがあったのですから。人口が問題でないことも彼らが証明してくれました。

島の誇りを胸に、そして島民の声援を背に受け、今後も勇敢に戦い続けてほしい。

人口はたった5万人だけど、本当にサッカー好きが多い島です。泊まった民宿のオーナーしかり、石を投げればサッカー関係者に当たる勢いです。サッカー好きであれば是非一度来てもらいたい島です。何か感じるものが絶対にあるはずなので。

流石に2日間は短かったですね。次はゆっくり、リーグ戦でも観に来たいなと思います。その時まで、島民の皆さんが心からサッカーを楽しめる素敵な島でありますように。

Footy Talks Vol.4「街中を練り歩くサポーターたち」

前回記事から引き続き昨年9月の北欧遠征のお話です。

9月2日、フィンランドは地方都市タンペレ。この日はロシアW杯予選フィンランドvsアイスランドの試合が開催された日です。

フィンランド第二の都市、タンペレでの開催に街は熱気に包まれていました。

アイスランドからは約2000人のサポーターが押し寄せ、チケットは完売。グループの下位に沈むフィンランドを気持ちよく叩いて悲願のW杯へ、と意気揚々と乗り込んだアイスランドサポーター達は街中のあらゆる場所で見かけることができました。郊外の湖のほとりにある公衆サウナでもたくさん見かけたくらいです。

約2000人のアイスランドサポーター。ヴァイキングクラップも圧巻でした。

そんなサポーターたち、試合時間が近付くと街中の広場に集まり、行列を成してスタジアムに向けて歩き始めました。

私はそれを沿道でただ眺めてただけなんですが、行列の中のサポーターのご厚意で、フィンランド側のチケットしか買えなかった私が念願のアイスランド側で観戦できたのでした。なんて出会いだ。

試合は前半フィンランドに直接FKを沈められ、アイスランドもゴールをこじ開けることが出来ず、0-1と痛い敗戦となりました。決勝点はニューヨークシティFC所属のアレックス・リング。4ヶ月前にヤンキースタジアムで出待ちした時にも優しくファンサービスしてくれた選手です。複雑だ…

その後、アイスランド代表はウクライナやトルコといった出場権を争うレベルの国をしっかりと叩いて、なんとかグループ首位でのワールドカップ出場を決めました。この敗戦が致命傷にならなくてよかった…

ここまで未勝利のフィンランドが金星。この後も強豪相手に負けなしで予選を終え、フィンランドにとってターニングポイントとなった一戦かもしれません。

そんなエピソードは置いておいて、今回に限らずヨーロッパでサッカーの代表戦を観に行くと、大抵の国ではこのようなサポーターの練り歩きを街の公道で見かけます。

中でも1番印象深かったのは欧州選手権EURO2016を観に行った時、マルセイユで見たハンガリーサポーターの行列でした。

マルセイユで見かけたハンガリーサポーターの練り歩き。その先頭集団。

最前線はユニフォームではなく黒いTシャツを着たいかにも「ヤバそう」な集団が仕切っていましたが、その後ろからは多くの一般サポーターたちが何百メートルにも渡って列を成しているのです。

列の後方は子供連れや女性の参加者も多く見られました。

普段だったら路面電車が通っている目抜き通りを何万人単位のサポーターが闊歩していく…非常に圧巻の光景でした。

これは国際大会でしたが、予選レベルでもアウェイサポーターが試合会場に列を成して闊歩していく様子はここフィンランドに限らず見られました。決してこれらの行列はサポーターが勝手に起こしているわけではなく、必ず現地の警察が行列のそばでしっかり監視していました。きっと時間やルートなど綿密に調整した上で行われているのでしょう。

日本ではオリンピックで活躍した選手が帰国後にパレードするような「凱旋」を称える気概はありますけど、こんな風にファン・サポーターが「決起」して練り歩くことはあまり無いですよね。自国に誇りを持って、戦いの地を練り歩く。日本代表サポーターだと海外遠征先でやっていたりするのでしょうか?あまり聞いたことはありませんが。

来年ラグビーワールドカップが、再来年には東京オリンピックが開催される我が国。自国の選手を応援しようと、全世界からスポーツファンがやってきます。

ラグビーやオリンピック競技を観に来る人々が、前述のような練り歩き、チャント合唱をするかわかりませんが、はるばるやってきた極東の地で自国への愛を叫びたいという人も少なくないはずです。

そんな場面に出会ったとき、我々は嫌そうな顔をするのではなく、温かくその様子を見守ったり、笑顔で歓迎することができたらいいなと思います。もちろんその人たちが法に触れるような行為をしていれば、警察を呼ぶ必要はあるでしょうが。多様性を認めるということも、これからの時代の「おもてなし」に必要な要素だと思いますし、何より多様性を楽しめてこそスポーツはもっと面白くなると思います。

今からしっかり心の準備をしておきたいものです。

Footy talks Vol.3 「北欧のコミュサカに触れてきた」

2017年9月1日

日本代表がロシアW杯を決めたその夜、スタジアムから空港に直行しました…

前日、日本代表がロシアW杯出場を決めたあの場所にいたはずなのに、私の体は既に北欧の大地にありました。

ヨーロッパもW杯予選は終盤戦を迎えていました。私は初出場を目指し好位置に付けていたアイスランド代表が敵地に乗り込む試合を観に、フィンランドはタンペレという工業都市に来ていました。

タンペレの街は代表戦がやって来るワクワク感に包まれていました。

昨年はフィンランド建国100年という節目の年だったそうで、フィンランドサッカー協会は代表戦を首都ヘルシンキだけでなく、地方都市でも積極的に開催していました。そのため今回ヘルシンキからバスで約3時間もかかる地方都市に飛ばされてきたわけです。大宮の試合を観に来たのに熊谷に飛ばされるような感覚ですが、時間はそれの倍以上でしたね…

観光にはもってこいのタンペレ

郊外の展望台から眺めたタンペレの街

地方都市か…と侮ることなかれ。タンペレの街はサッカーが絡まないフィンランド旅でも必ず訪れてもらいたい素敵な街でした。

日本人も多く訪れるムーミンミュージアム。

新しく開館したばかりのムーミンミュージアムを始め、ここタンペレが発祥というフィンレイソンを中心に、人気の北欧デザインが売りの雑貨店もたくさんあります。湖の国フィンランドを体感できる展望台や公衆サウナなど、見どころは満載です。人口約20万人とフィンランドとしては大都市ですが非常に落ち着いた空気が流れていてゆっくり見て回れることでしょう。

9月上旬でしたが湖の水はとても冷たかった…サウナで体の芯まで温めないとツラいですが、話のネタには最高です。

フィンランドの3部リーグを観に行きます

さてここからはサッカーのお話。正直、フィンランドはヨーロッパの中でもサッカー不毛の地の印象が強いでしょう。代表チームはW杯や欧州選手権の本大会に出場したことはありませんし、クラブチームの活躍を耳にすることもほとんどありません。長くサッカーを観ている人ならリトマネン、ヒーピア、ヤースケライネンといった往年の名選手くらいなら聞いたことがあるかもしれませんが。この国ではアイスホッケーが一番人気のスポーツだそうです。

今季からC大阪に加入した田中亜土夢選手が名門のHJKヘルシンキに所属し3シーズンプレーしていたことでフィンランドでもサッカーってやってるんだと思った人も多いのではないでしょうか。昨季はヨーロッパ各地でプレーを続けている「渡り鳥」和久井秀俊選手も2部リーグでプレーしていたようです。

ただ今回観てきたのは更にその下の3部リーグ。タンペレに本拠地を置くTPVというクラブの試合です。何故観ようかと思ったかというと、目当ての代表戦の前日にすることが何も無かったから。ただそれだけ。どんな雰囲気か全く予想が付かない中、スタジアムに向かったのです。

古豪クラブは意外としっかりした運営

5000人収容のコンパクトなスタジアム。9月上旬だと午後6時でもこの明るさ。

街の中心部にある宿から徒歩10分もかからず着いたタムラーンスタジアム。3部リーグのスタジアムとは思えないほど立派ですが、昨季トップリーグで3位だったイルベスFCと共同使用とのこと。入場料も取るようですが、今回は事前に連絡していたため、クラブスタッフからチケットはプレゼントしてもらいました。

スタジアム内のグッズショップ。その奥には温かいコーヒーや名物のソーセージを売っているブースがありました。

トップリーグを開催できるスタジアムだけあってグッズショップや飲食ブースも用意されています。タンペレご当地グルメは焼き立てのソーセージだそう。9月初旬とはいえ夜は涼しいタンペレ。ありがたいグルメです。

2ユーロで売られているタンペレ特産の豚のソーセージ。お好みでケチャップやマスタード、ピクルスをかける。

弱小国の3部リーグなんてほぼ草サッカーと同じ環境だろうと思っていまいたが、ここTPVは最低限興行としての体を成していて正直驚きでした。

それもそのはず、このTPVはフィンランドのトップリーグでも優勝経験がある古豪クラブ。同じ町のライバル、タンペレ・ユナイテッドとのダービーマッチは3部リーグにもかかわらず2,000人の観客が詰めかけるほど、サポーターは比較的多いクラブなのです。

荒れに荒れた試合・・・

さて試合の方ですが、あまり記事でこの言葉も使いたくないのですが、途方もない「バカ試合」でした。いろいろなことがハイライト映像にも乗り切っていないので以下箇条書きします。

  • 早々にホームのTPVが立て続けに2失点
  • 2失点目の交錯プレーでGK負傷交代
  • TPVも前半のうちに2点返して追いつく
  • 判定に激怒した相手監督が前半のうちに退席処分を食らう
  • 後半開始早々、相手選手が仲間割れを起こして1人退場
  • しかし10人になった相手チームに勝ち越しを許す
  • ただ数的有利を生かしてTPVはすぐに追いつく
  • 追い越せムードが漂う中、TPV唯一のフィンランド代表経験者インナネン選手がベテランらしからぬ足裏タックルで一発退場
  • 相手チームに試合終了間際の勝ち越し点を献上
  • フルタイム TPV 3-4 BK-46

何これ箇条書きだけでも疲れるんですけど…

ハイライトはこちらです

バックスタンドに集結したTPVサポーター。現地人も移民も共に応援します。

試合展開には疲れてしまいましたが、サポーターは個性的で面白かったです。もともと労働者階級のクラブということで敷居は低く、今では移民の方々が多く応援に加わっているとのこと。

とりあえず楽しそうなのは良いのですがマナーは守ってほしいですね…なんか急にピッチに乱入し始めたし…

ピッチ乱入した移民兄さんは地元のおばちゃんサポーターにこっぴどく叱られていましたが、そのおばちゃんの威勢のいい声から次のチャントが始まって、雰囲気の良い集団でした。

そしてアウェイのBK-46サポーターは劇的勝利にすごく嬉しそう…

荒れに荒れた試合を制し、勝ち点3を遠く離れた町に持ち帰る選手と10人ほどのサポーター。


フィンランド3部リーグは地域別で3つのリーグに分けられているそうですが、それでも彼らはこんなに離れた場所から遠征してきた精鋭たちのようです。お疲れ様でしたとしか言えない…

サッカーを通じて様々な人々が交わるスタジアム

移民中心の大人たちが応援する向かいのスタンドでは地元の子供たちが大きな声で選手にエールを送っていました。スタジアム内は老若男女、現地人や移民、様々な人が行き来する空間でした。違う人種でも同じ町に住み、同じチームを応援するためにここに集まっている。当たり前なのかもしれませんが、なんだか少し嬉しく感じます。

私が前述のスタグルのソーセージを食べていると、1人のおじさんが「やあ中国人、どうだ?美味いか?」と聞いてきました。私は美味いよとサムアップして、あなたも食べる?って返したところ「ごめんな、俺は食べられないんだ」と返されたんです。

ソーセージが嫌いだなんて珍しいなと思ったのですが、10秒おいて気が付きました。彼は宗教上食べてはいけないのだと。ハッとしました。

これも異文化が同じスタジアムの中でサッカーという競技を通じて共存しているということの証かもしれません。これ、日本だと「宗教上食べられないものはスタジアムで売るな!」になってしまうんじゃないかな。

サッカーが強いとは言えない、人気とも言えないフィンランド。その3部リーグという舞台においても、スタジアムが地域の人々にとって週末の楽しみの場となっていること、老若男女、どんな人種の人々でも楽しめる場となっていることに北欧のスポーツ文化の懐の深さを感じた次第です。

試合はすごい展開でしたが、いいものを観させてもらったと思います。

Footy talks Vol.2「海のボールパーソンとお話してきた。」

2017年、北九州に多くのサッカーファンの心を躍らせる素敵なスタジアムが誕生しました。同時に、ここでしか考えられないある「スタッフ」も登場しました。

彼の名は「海のボールパーソン」

今回、8月26日「ギラフェス」と銘打ったFC琉球戦の前に北九州市漁業協同組合長浜支所を訪問しました。その時のお話、とても面白かったので少し長くなりますが会話形式のままご紹介します。

お話を伺ったのは8月19日の藤枝戦で2回目の海ポチャボールを回収したNさん弟(以下N弟)と、この日初めて海のボールパーソンに挑戦するNさん兄(以下N兄)。組合長のKさん(以下K)、同僚の漁師のYさん(以下Y)も同席いただきました。

 

footysab(以下F)「早速ですが、みなさんは以前からギラヴァンツ北九州というサッカークラブをご存知でしたか?」

一同「うん、知っとったよ」

F「試合は観に行ったことありますか?」

Y「自分はまだ本城で試合をやっていた頃、まだJ2の時に2回くらい行ったかな。地域で応援してくださいって声かけがあって招待券もらってね」

N弟「俺らは観に行ったことないなあ」

F「普段からサッカーと深く関わっていたわけではないんですね。漁師の仕事をしていて、海のボール拾いなんてまず考えられなかったと思いますが、このお話をもらった時どう感じましたか?」

一同「どうって、ねえ(笑)」

F「土日まで駆り出されて面倒くさいなとか思いませんでした?」

N兄「いやいや、それは全然ないよ」

K「強制じゃないし、行きたくない人は手を挙げなきゃいいだけの話やしな」

F「みなさんのおかげで試合運営ができるので感謝している人も多いと思いますよ。ところで試合当日はどのような流れで準備していますか?」

N弟「船を出す前にエンジンとか、動作をチェックするね」

N兄「俺もさっきキミが来る前に確認したよ」

N弟「そして18時からの試合だと大体16時半くらいには船を出すよ。お客さん入れる時間によって変わることもあるみたいだけど」

この日のボールパーソン、優漁丸は16時半ぴったりに長浜支所を出発していました。

F「そうなんですか。自分6月にもミクスタに試合観に来てて、たしかその時は第5秀丸…」

N弟「あれ俺の船や!あの紹介の時な、カメラでズームされてたのにアナウンス聞こえなくて手を振れなかったんや。本当は何かしなきゃいけなかったのに(笑)」

F「えー(笑)船を見て気になったんですけど、ポジションを探るかのような動きがあった気がします。船内で試合映像見ながら動かしたりしているんでしょうか?」

K「あんなんただ風に流されているだけやないの?」

N弟「風で流れてるだけや(笑) 映像も見てないよ。試合中はスタジアムの隙間からギラヴァンツの応援団が見えるところにいることが多いね。そこにいれば、大体どこにボールが落ちてもわかるし」

N兄「(今日初めてだから)ちょっと後で指示してくれ(笑) どの辺おったらええか全然わからん(笑)」

大体この辺りに位置取って、北の方まで見渡しているそうです。

F「隙間からサポーターは見えても試合内容は見えないですよね」

N弟「試合は見えないね。電光掲示板が見えるから良いシーンは見えるけど。あと高く上がったボールは意外と見えてるよ

F「試合中に気を付けていることってありますか」

N弟「試合中はボールが見える位置におらんといけんし、あとスタンド下の通路を行ったり来たりしてるお客さんにも結構気を使うよね

N兄「あそこは柵が低いし頑丈やないからな。俺も多分ボールより観客の方に気を使うわ。子供も多いしな

海はよく見えますが、子供でも乗り越えられそうな簡易的な柵。海のボールパーソンは観客の安全も気にしています。

F「先週、ナイトゲームで実際にボールを取った時のことですが、ボールがヒュッとスタンドから飛んで来てもわかるんですね」

N弟「わかるわかる。一応チームから連絡来るし、無くても歓声でわかる。試合の歓声と明らかに違う。ワー!の質が違うからね

N兄「うわー!それめっちゃプレッシャーやん(笑)」

Y「へえ〜海に出る〜って感じのボールだと歓声でわかるもんなのな」

N兄「俺がそれをボレーシュートでスタジアムに返す…」

Y「できるか!(爆笑)」

N兄「この船長うまっ!ギラヴァンツの選手よりうまっ!みたいな(笑)」

Y「そういや、1試合で3球外に出たら1つ貰えるって噂もあるけどホントなん?」

N弟「ん?わからん」

F「そんな噂まであるんですね(笑)」

※真相は定かではありません。

長浜支所からミクスタまでは目と鼻の先の距離です。

F「そうだ、せっかく漁師さんにお話を伺える貴重な機会なので、お魚の話を聞きたいです。ここではどんな魚を捕れますか?」

N兄「いろいろ獲れるよ(笑) 年間通して」

F「有名なお魚とかあります?」

N弟「そりゃたこだね、関門海峡たこ。あれはブランドものだからね」

漁協の敷地にも張り出されている看板商品、関門海峡たこ。潮の流れが速い関門海峡では身が締まって育つので美味しいそう。

Y「今日は朝市やっとんたんよ」

F「え〜そうなんですか。もっと早く来ればよかった…」

※長浜支所さんでは毎月第2、第4土曜日に朝市を開催しているそうです。→ 北九州市の朝市

N弟「でもスタジアムでここ(長浜支所)の人がたこめしとか売っとるよ

F「え!ホントですか!」

豊栄のたこめし(500円)関門海峡たこの歯ごたえはもちろん、たこと一緒に炊かれたごはんはほんのり海の香りがして美味しかったです。

N弟「あと、たこカツバーガーとか」

F「!!!」

N兄「たこカツバーガー?あいつそんなん作ったんか。一個食ってみたいな」

F「ここ長浜支所さんで獲れたたこがスタジアムで味わえるってことですね!!!」

関門海峡たこを使用した、たこカツバーガー(400円)サクサクの衣と中の歯ごたえあるたこのハーモニーが絶妙な逸品。

N兄「関門海峡たこ、NHKにも取り上げられとったしな。ただし売り切れ御免や」

N弟「数もたくさん作れんしな」

(おもむろに電話を取り出し製造者に本日の在庫を確認するKさん)

N兄「いやあ、たこカツバーガー食ってみたいな。モスバーガーで出したらいいのにね(笑)

K「おう、1つずつ取り置きしてもらったから、後でこの名刺持っていきな!」

F「ありがとうございます!!!」

たこめし、たこカツバーガーはスタジアム内コンコースの売店で販売されています。海のボールパーソンの「本業」を垣間見ることができます。

F「海のボールパーソンを始められてから全国での反応がすごいですが、どう感じてますか?」

N兄「ってかそんなすごいん?」

F「いやあ、すごい反響ですよ」

Y「あんなんに興味があるんやね」

F「サッカー好きって結構感性豊かなんです(笑)」

N弟「ガチで変なことしちょったら炎上するけんね」

N兄「カメラでアップになった時にお尻なんて出そうものなら・・・」

F「絶対炎上するんでやめてください(笑) みんな写真撮りますから」

N弟「みんなスタンドからよう手を振ってくるけんね、あんまり知らん顔してると多分叩かれよる(笑)」

N兄「そっかあ、どうしたらいい?こんな汚れた作業着じゃダメだね?」

※出勤時はきれい目なチェックのシャツに着替えてらっしゃいました。

Y「マスコットの着ぐるみでも借りとったらええん」

K「暑いのう!はっはっは(笑)」

Y「しかしまあ、みんなカメラで綺麗に撮りよるね」

N弟「こないだなんて近くに落ちてきたから結構早くボール掬い上げよったのに撮られてたからねえ」

F「タブレットとWi-Fiあるんでちょっと映像見てみます?」

 

(他にもSNSにたくさんアップされている映像を見ました)

N兄「すごく綺麗に撮りよるね」

F「先週の海ポチャボールは一発で華麗にキャッチしましたからねーこれは今夜のハードル高いですね(笑)

K「ボールに傷付けんように〜とか言われよったし(笑)」

N弟「この日の観客3000なんぼやったけど、今日満員やし(笑)

Y「上手く取れんかったら画面にヘタ!ヘタクソ!ってたくさん流れよる(笑)」

(一同大爆笑)

N兄「ボール上手く拾いきらんで野次られたら多分キレるけー(笑)」

F「いやぁ、本当にこれくらい話題性抜群なんですよ。海のボールパーソン」

N弟「俺、第5秀丸の紹介のやつがたくさん拡散されてるのはすごかったもんね。アレ怖いと思ったわ」

 

F「自分がアップしたものも、瞬時にリツイートやいいね!の応酬でした」

N兄「なら俺今回は1万いいね!くらい目指そうかな」

N弟「俺はいいね!じゃなくて逆の押すわ笑 (親指を下に向けながら)」

(再び一同大爆笑)

N兄「いやただね、ボール拾いだけど、やっぱ人間よ。命あるものが1番」

N弟「ボールより人が落ちたら困るもんな。ボールは浮いちょるけど人はそうもいかん」

Y「地域で救難救済会って組織があるんよ。海の事故に備えて。きっとそういう目的もあると思う。海に人が飛び込んだとか、車が飛び込んだとか結構あるんだよ」

F「そういった想いは是非多くのサッカーファンにも知ってもらいたいです」

N弟「日本全国船を持ってる人ならそう思っとるよ」

N兄「そうな。勝ったからっていって、飛び込まれると困るね。気持ちはわからなくないけど」

N弟「ギラヴァンツさんが球拾いとして取り上げてるのはいいけど、こっちはちょっと趣旨が違う。スタジアムの中に人がおる分にはいいけど、(試合が終わって)一斉に人が通路に出てくるとやっぱり心配するよ」

F「皆さんのそういった想いが聞けただけでも、とても貴重な時間でした。ありがとうございました!今夜の試合もよろしくお願いします。」


その夜、ミクスタには今季開幕戦に次ぐJ3史上2番目の記録となる13880人の観客が集まりました。目標の15000人には届かなかったものの、見た目ではほぼ満席でアウェイ側ゴール裏の最後列にも立ち見客がいました。

結果も伴い、黄色に染まったスタジアムは最高の雰囲気。打ち上げ花火が大観衆の中での勝利に花を添えました。

わずか4分間で600発もの花火が夜空を彩りました。この花火の時間も動員として海に出ている漁師さんがいたそうです。

こうして「ギラフェス」が成功に終わったのはクラブや選手、また多くの協賛企業の力も大きいでしょう。しかし、こうして文句も言わずに裏方の仕事をしてくれる地域の人々にも支えられていたのです。

そんなこと知っているつもりだったけど、こうやって北九州の心優しい皆さんに出会って、改めて裏方で支えてくれる方々への感謝の気持ち、忘れないようにしたいと感じた次第です。

最後になりましたが、北九州市漁業協同組合長浜支所の皆さん、貴重な機会を本当にありがとうございました。またミクスタへ美味しいたこ、食べに行きますね。

Footy talks Vol.1 「FIFAランク191位の島で」

 

このサイト立ち上げの記念すべき?初記事では今年1月に訪れたマルタ共和国のサッカーについてお話します。なぜそこに行ったのか?理由は2つ。島好きの好奇心がくすぐられたこと、もう1つは異常なほど安い航空券が出ていたからです。ターキッシュで往復52,000円でした。いつか行くなら思い立った時に。

 

 

地中海に浮かぶマルタ共和国。ヨーロッパではもともとリゾート地として有名で、英語が公用語のため最近は留学先としても人気の高い国です。

マルタと言えば、サッカー日本代表が歴史上一度だけ対戦したことがあります。2006年ドイツW杯開幕前、最後の親善試合。結果は1-0で勝利したが、スッキリしないまま大会を迎えることとなりました。その後の展開については語るまでもありませんが、あれからもう10年以上経つのですね・・・

マルタはヨーロッパサッカー界において、我が愛するフェロー諸島と共に「やられ役」を長く演じてきました。FIFAランキングも191位。(2017年7月現在)何人か実力のある選手が居て、たまに番狂わせを起こす立ち位置です。日本では誰も話題にすることが無いマルタのサッカーを覗いてみた時の発見。それが初回のテーマです。

強くないけど、サッカーが本当に好きな島

訪れて驚いたことは、マルタの人々は本当にサッカーが好きなことです。カルチョが大人気なイタリアが近いこともあるのでしょうか、至る所で人工芝のピッチを見かけますし、お土産屋にはマルタ騎士団のプリントが施されたサッカーボールが必ず売っています。まるで「国技」のような扱いです。

首都ヴァレッタ市街のサッカーグッズ専門店の品揃え。上1列と2段目の左側3つのペナントはなんとマルタ国内のクラブ。数々の強豪と並べて売られています。

マルタ共和国は有人島であるマルタ島・ゴゾ島がそれぞれサッカー協会を持っており、(UEFAに加盟しているのはマルタ島の協会)マルタ島では4部制、ゴゾ島では2部制の成年男子のリーグ戦が展開されています。2島合わせても人口は約40万人の国で、67ものクラブがしのぎを削っているのです。トップリーグの試合ともなれば熱狂的なサポーターがスタンドを埋め、ブラスバンドを率いた応援が展開されるクラブまであります。

マルタプレミアリーグの強豪、ヴァレッタFCのサポーター。

 

ただ人口に対するリーグ規模であれば、昨年のEUROで世界中を驚かせたアイスランドにもこれくらいは当てはまる話です。彼らは人口約32万人で5部リーグまで展開しています。マルタサッカーのすごいところは人口比の話ではないのです。人口でなければ何か…それは面積です。

グラウンドは学校の敷地内、クラブハウスは飲食店

起伏に富んだマルタの地形。比較的平坦な場所には既に住宅が密集している。

マルタ共和国の面積は316㎢。これは東京23区の半分、名古屋市や前橋市、八戸市とほぼ同じ面積だそうです。ここに67クラブあるというのです。多いですよね。少年サッカーではないのですから。1つの集落に対して1つ以上のクラブがある感覚です。

密集した住宅街の中にはめ込むようにして作られたスタジアム。

そしてマルタは平地が少ない地形をしています。起伏に富んでいてバス移動で気持ち悪くなるくらいです。当然全クラブが満足な広さのグラウンドを持てるわけではありません。

公式戦も協会で決められたいくつかのスタジアムでしか開催できません。1つの会場で大体1日2試合開催されます。

マルタプレミアリーグで使用されるハムルン・スパルタンズFCのホームスタジアム。建物が密集する街中に埋め込まれたスタジアムです。

練習グラウンドはトップリーグのクラブでなければフットサルコートに毛が生えた程度のものも結構多いです。私が訪れたゴゾ島の一番端の町San Lawrenzには小学校兼交番という敷地の中にポツンと人工芝のコートがありました。

ゴゾ島2部リーグのSt.Lawrence Spursの練習グラウンド。こじんまりとした人工芝コートですが、改装するまではこれよりも狭かったのだとか。

マルタではクラブハウスも特殊な形態を取っています。あるクラブはレストラン、あるクラブはバー、あるクラブはピザ屋、といったように飲食店に置くことが一般的です。クラブ名を冠した店に入ると、これまで獲得してきたトロフィーが飾られておりクラブの歴史が垣間見れます。そこで地元の人が飲食をしていて、サッカーの話だけでなく、世間話もしていたりします。

ゴゾ島2部リーグSannat Lions FCの名を冠したピッツェリア。注文すると焼き立てのピザを出してもらえる。
世間話が繰り広げられるバーカウンターの向こうにはこれまでクラブが獲得したトロフィーが飾られている。

売り上げはクラブの運営費にもなるようです。運営費を稼ぐためにクラブの店を開いたところもあれば、もともとクラブハウスだったところをバーに改装したところ、ただ住所を置く場所が飲食店しか無かっただけなど理由は各クラブごとに様々でした。新しくクラブハウスを建てるお金も土地も無い中では、誰もが気軽に訪れることができる飲食店でクラブハウスの形態を取る方法が人々に一番支持されているのかもしれません。

観戦した試合は金曜夜開催に加え、年に一度の大寒波に当たってしまい観客は十数人だけでした。残念・・・

私がゴゾ島滞在時にゴゾ島リーグを観戦した後、事前に連絡を取っていたSt.Lawrence Spurs FCの選手がクラブハウス兼バーに招待してくれました。そこには数々のお酒のボトルと別の店で買ってきたピザが用意されていて、1時間ちょっとの祝勝会が催されました。いつも試合後はこのバーで会話に花を咲かせるそうです。羨ましいひと時です。

試合後のSt.Lawrence Spursのバーにて。温かく出迎えてくれました。

San Lawrenzの集落は人口700人ほどですが、試合によっては100人近くの観客が来ることもあるそうです。マルタ国内で展開されているサッカーは決してレベルの高いものではありませんが、どの町のクラブもそれぞれの地域で人々が集う場所としての機能を果たしており、信仰心と地元愛が強いマルタの人々にとっては教会と同じくらい、無くてはならない存在のようです。

限られた環境の中でも楽しめる心持ちは学びたい

限られた資源の中で工夫してサッカーを楽しむマルタの人々を見て、改めて考えさせられました。

日本はどうでしょう。球技専用のスタジアムも多くなり、いわきFCのように始めから設備を一流のものに揃えるクラブまで現れましたが、それはまだ一部の話に過ぎず、ハード面で苦しい状況に直面している地域も多いです。日本の場合、設備の欠如が昇格不可など不利益にも繋がるので、とかくネガティブになりがちです。

勿論より良い環境を求めることを否定するわけではありません。競技力強化のためにも一定以上の設備は必要なものです。

ただ、無い物ねだりをするのではなく、今ある環境下でいかに魅力を見出していくか。その気持ちは忘れてはいけないと感じます。綺麗な専スタが人を集めているのではありません。楽しいところ、面白いところに人が集まってくるのだと思います。

新鮮なサッカー観を示してくれたマルタの人々に心からのリスペクトを。